前2回の国会で継続審議となっている有事関連3法案が、1月20日開会の第156通常国会で審議がされようとしています。小泉内閣と与党3党は、国会の開会前から国会を延長してでも、又与党単独ででもこの法案を成立させると、なりふり構わぬ言動、行動をとりつつあります。この有事法案は、既に多くの国民が看破しているように、日本の有事ではなく、国会で政府自らが「日本を攻撃してくる国があるとは考えられない」と、答弁しているようにアメリカがその覇権主義により引き起こす戦争に、日本の自衛隊を参戦させることにあります。
その観点から、戦後の港湾と米軍の関係を見ておく必要があります。神戸港は終戦と同時に米軍により接収され、復興が進むにつれ順次返還されますが、新港第6突堤は水深があるとの理由で1959年迄接収が続きました。その間1950年6月朝鮮戦争が勃発し、この第6突起は米軍の軍事物資荷役の中心となり、ゲートには有刺鉄線が張り巡らされ、銃をかまえたMPが24時間見張りをし、港湾労働者は昼夜を問わず働かされたのです。又、賃金は他の仕事より安く、前線で壊れた戦車のキャタビラには肉片がこびりつき異臭と危険のなか、奴隷的労働を強いられたのです。又、大阪港では1951年2月4日午後9時頃、朝鮮向け軍米を軍船ビクトリア号に積み込み作業中の一労働者が、使用禁止の手鉤(てがき)を使用したとの理由で、その時作業をしていた40名近くの労働者全員が監視の米兵から殴られ、2名は手鉤で背中、腕、腰などを強打され大けがを負う事件がありました。しかし全港湾はこの年の3月から「軍事荷役の労働強化と奴隷労働の打破」などをスローガンに掲げ、ストライキに突入し闘いは全港に波及していき、当時の世界的反戦闘争の高揚に呼応していきました。
1965年に始まったベトナム戦争時には、再び軍需物資の荷役と共に、戦死者の遺体搬送のため冷凍コンテナーが投入され、今日のコンテナー時代の先駆けとなったのは皮肉な事といえるでしょう。そして港湾労働者は、この「アメリカ帝国主義者のベトナム侵略に反対する国際連帯行動アピール」のもと、各港で軍需物資輸送の全面ボイコット闘争が展開されました、その荷役拒否闘争の最中、1968年5月、米軍チャーター貨物船エクスマウス号が韓国プサン港から弾薬3,500トンを積んで九州関門港に入港し強行荷役を行おうとしましたが、関門港で働く労働者は全面的な荷役拒否の闘いに突入し、その闘争が地域住民の陸上輸送反対の要求と結びつき、小倉市内で1万人の集会とデモが決行され、貨物船は荷役をできず関門港から撤退しました。
この様に米軍は、日本の港湾を戦争の度に軍事利用し、港湾労働者に多大な犠牲を強いてきたのです。しかし神戸港は、1975年3月18日の市会で「非核神戸方式」という、すばらしい市会決議を全会一致で採択し、(正式には「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」というもので、神戸港に入港しようとする外国艦艇は、核兵器を積んでいないという、非核証明書を市へ提出しなければ入港を許可しないというもの)この決議以後アメリカの艦艇は神戸港へ、一隻も入港していません。しかしこの有事法案が成立すれば、非核神戸方式も葬り去られる事になるでしょう。
港湾の歴史を振返っただけでも、戦後アメリカの蛮行に日本が大きく加担してきており、さらに今回の有事法案成立で自衛隊や駐留米軍に特権を与え、民間の陸・海・空の施設のみならず、自治体や国民の動員、徴用を義務づけようとしているのです。全港湾は常に反戦平和の闘いの先頭にたってきました、昨年の大阪における「有事法制反対5・20関西集会」や、兵庫の「ストップ有事法制6・13兵庫県集会」など、ナショナルセンターの違いを越え、陸・海・空・港湾20団体を軸に国民総結集をめざし、有事法案反対の声を高々とあげ、最後まで闘う決意をしていることを報告しておきます。
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全労連の多くの労働組合は、自らの仕事が第2次世界大戦にどういう役割を果たしたかを検証しながら運動を進めています。「教え子を再び戦場に送らない」と誓った全教は、産別の運動の基本と位置づけています。また、第2次世界大戦で“赤紙”を配った自治体労働者は自らが間接的とはいえ加害者としての反省の上に、平和運動を位置づけています。
日本医労連は、「二度と戦場の血で白衣を染めない」と誓って平和運動を続けています。日本の医療労働者は第2次世界大戦で、従軍看護婦・衛生兵として自ら戦場に赴き、戦争に協力をしました。戦後も朝鮮戦争で1950年12月8日に日本赤十字に勤めていた看護婦16名が“赤紙”で招集され、福岡県の国連軍臨時141兵站病院に動員されました。結局、朝鮮戦争での動員は100名近くに上りました。
戦争に医療は絶対に必要な「戦力」です。そのため、ひとたび戦争になれば医療労働者は一番に動員され、戦争の被害者となります。同時に戦場で負傷した兵士を治療し、再び戦場に送り返してその兵士が民間人を傷つけることで間接的とはいえ、加害者にもなります。医療労働者は患者さんの生命と健康を守る力になりたいとこの職業を志しました。人殺しをする戦争は、その被害者にも、当然加害者にもなりたくありません。日本医労連は私たちの職業のアイデンティティとして有事法制を認めることができません。
戦争は他国の主権を侵してでも、自国の企業の経済的利益の拡大のために行われるものです。そういう意味では、基本的に戦争にかり出されるのは常に労働者です。当たり前の話ですが、自らのもうけの拡大のために資本家が先頭に立って銃をとることなどあり得ません。戦争を行う上においては階級的支配を濃くしなければなりません。政治的に強制動員されるのであっても労働者を使って目的を達するのですから戦争に反対することは労働者の権利を守る闘いです。有事法制は「戦争をしない国」から戦争をする国に変えようとするもので、有事法制を阻止する闘いはまさに労働運動の課題です。
また、労働運動は1970年以降、国民要求を全面に掲げた春闘を闘い大きく発展をしました。1988年の全労連結成以降は、文字通り「国民春闘」として、国民的要求実現の先頭にたって闘ってきました。国民春闘を前進させる上では、すべての国民・労働者の暮らしも財産も生命をも奪う有事法制を阻止するために闘うのは当然の事で、労働組合の社会的役割といえるものです。
「国民春闘」の前進のためには、一致する要求で多くの国民・労働者と共同することが求められています。昨年6月13日には、兵庫県医労連、自治労、全港湾関西地本、神戸新聞・ディリースポーツ労働組合の4労組の呼びかけで、「STOP!有事法制兵庫県集会」を行い4,000人の参加で成功しました。この集会は労働組合の潮流の違いを乗り越えて有事法制とメディア規制法案に反対する一点での共同闘争でした。10月の2,000人での2回目の集会を経て、11月には廃案まで共に闘う「STOP!有事法制兵庫実行委員会」へと発展しました。
有事法制阻止の闘いは、新たな労働運動の中で一致する要求での幅の広い闘争を作る上で、その重要性から共同が広がる条件の非常に大きな課題といえます。
兵庫県医労連はすべての労働者との共同で有事法制廃案まで先頭に立って闘う決意です。
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控訴人医療法人青山会(X)は、平成7年1月1日、仁和会の経営する越川記念病院の施設、業務等を引き継いで、青山会みくるべ病院を開設した。仁和会とXは、平成6年12月13日付覚書において、仁和会は従業員を全員解雇し、仁和会の従業員をXが雇用するか否かはXが決定するものとし、病院運営に必要な施設、備品等を引き渡す旨の売買契約を締結した。
平成6年12月、任和会は、全職員55名に解雇を通告したうえ、A病院への採用希望を打診し、Xは、その採用希望者に面接、平成7年1月1日付で32名を採用した。特に看護科では、33名の職員のうち、上秦野病院労働組合(本訴被控訴人補助参加人、組合員2名)の組合員山本及び高橋のほか、Xへの採用を希望していなかったもの3名の計5名を除く28名について採用面接を行い、その際、採用希望者は条件面で折り合いがつかなかったものを除き、21名全員を採用し、採用を希望しなかった一部の者に対しては、その後、Xに就職するよう説得をしており、他方、看護職員等補充のための公募を行った。補助参加人組合は、平成7年2月に神奈川県地労委に救済を申し立てた。
地労委の命令は、Xの雇入れ拒否は、労組法7条1、3号の不当労働行為に当たるとして、@山田及び高橋の採用と同人らが採用されるまでの賃金相当額の支払、A組合活動を理由の不採用等の支配介入の禁止、B文書手交を命じた。
Xの再審査申立に対し、中労委は再審査請求を棄却し、地方裁判所は請求を棄却した。
高裁判決は、結論として原判決を正当とし、Xの控訴を棄却した。その判断内容は、以下のとおりである。
@ | 本件任和会、X間の病院経営譲渡は、「商法上の営業譲渡に類似するもの」であるが、譲渡自体は不当労働行為を目的としたものとはいえない。 |
A | XにおけるA病院職員採用の実態からすれば、新規採用というよりは「雇用関係の承継」に等しいと言わなければならない(労組法7条1号本文前段の適用を論ずるまでもない。) 覚書の存在からすると、「本件契約においては、控訴人は仁和会の職員の雇用契約上の地位を承継しないとの合意があったものというべきであり、営業譲渡の場合、譲渡人と被用者との間の雇用関係を譲り受け人が承継するかどうかは、原則として当事者の合意により自由に定めうるものと解される。」「しかしながら、契約自由の原則とはいえ、当該契約の内容がわが国の法秩序に照らして許容されないことがあり得るのは当然である」。 「本件譲渡の場合、実質的には雇用者と被用者との雇用関係も承継したに等しいものとなっている」。「本件不採用は,控訴人と任和会が件に対する要請行動を行った被控訴人補助参加人とその構成員を嫌悪して、これを排除しようとして行ったものである」。 「控訴人による越川記念病院の職員のみくるべ病院の職員への採用の実態は、新規採用というよりも、雇用関係の承継に等しいものであり、労組法7条1号本文前段が雇い入れについて適用があるか否かについて論ずるまでもなく、本件不採用については同規定の適用があるものと解すべきである」。 |
B | Xの山本、高橋の不採用には、いずれも合理性が認められない。 「控訴人が山本及び高橋について採用面接もしないまま同人らを不採用としたことには、合理的な理由があったとは到底いいがたい」。「控訴人は、山本及び高橋の両名が控訴人への採用を希望していることを知りながら、この両名が被控訴人補助参加人に所属し、組合活動を行っていたことを嫌悪し、そのため、当初から意図的に両名を採用しないこととし、採用面接を行わず、不採用としたものと認めるのが相当である」。 |
C | 仁和会、X間の前記合意は、山本、高橋の組合活動を嫌悪し、Xの新設病院における排除を目的としたものと推認され、労組法の規定の適用を免れるための脱法の手段としてなされたものと認められるから、Xは、同合意を持って同法7条1号本文前段の適用を免れることはできず、両者の不採用は、その組合活動を嫌悪して解雇したに等しいというべきであり、同法7条1号本文前段の不利益取扱いに該当する。 |
D | 本件不採用当時、申立組合の組合員は、山本、高橋の2名のみであったことからすれば、本件不採用により組合が壊滅的打撃を受けたことは明らかであるから、Xは本件不採用により山本、高橋の組合参加に壊滅的打撃を与えることを意図し、組合の運営に支配し、介入したもので、同条3号に該当する。 |
高裁の争点は、病院の経営譲渡に際し旧病院の看護職員のほとんどが新病院に採用されているにもかかわらず、特定の組合員のみが面接の機会を与えられず、採用されなかったことが不当労働行為に当たるかどうかである。使用者が労働者を相当の理由なく「採用しないこと」が、労組法7条1号本文前段にいう「不利益取扱い」に当たるかどうかは、不当労働行為の理論上、古くからの大きな争点であるが、実際に問題になった事件としては、有期雇用者の雇い止め、企業譲渡ないし偽装閉鎖等における一部の労働者の差別的「採用拒否」ないし解雇類似のケースが多い。
本件の特色としては、新旧両使用者間において経営譲渡に際し、旧病院の職員はすべて解雇するが、新病院への採用はXの専権とする旨の特別の合意がなされていることであり、このような特約が不当労働行為の成否の判断にどのように関わるかが問題となった。
本判決において重要なことは、この場合の「雇用承継の実態」は、まさに「実態としての」雇用関係の承継の有無だということである。雇用承継をするかしないかについての旧経営者と新経営者の合意はこの判断を左右しない。逆にいえば、実態として雇用関係が承継されているような場合に、ある労働者の採用拒否が不当労働行為意思に基づいてなされたと認定されれば,当事者が「雇用承継をしない」と合意したとしても、その合意は,本判決のように、不当労働行為責任を免れるための脱法行為と評価され、その法的効果を否定されるのである。
本判決は、営業譲渡型採用拒否と不当労働行為の成否という問題について、一つの判断基準を示したという点で大きな意味がある。
地方裁判所は、@ 本件病院の譲渡を「商法上の営業譲渡に類似するもの」と捕らえた上、本件では当事者間において前病院の職員の雇用契約上の地位が承継することはしない旨の合意があったものといわざるを得ないとし、したがって、本件の「Xへの採用」の性質をXの「新たな従業員の採用」の一環と位置付けている。
A さらに、採用拒否に労組法7条1号の適用があるかどうかの一般論について「企業者に認められた採用の自由の保障と、不当労働行為制度が目的とする労働者の団結権の保障とを比較勘案して、同号の解釈を決するほかない」とし、結論として「雇入れについても、労組法7条1号本文前段の適用があり、雇入れにおいて労働組合の組合員であること等を理由に労働者を不利益に取り扱うことは、同号本文前段により禁止されていると解するのが相当である」と判示している。
東京高裁の判断は、東京地裁とは異なり、不当労働行為の成否について,権利義務の存否や有効無効を判断するものではなく、団結権侵害の事実の有無であるという点からも、形式ではなく、実態を踏まえた判断をすべきであるとしている。
また、採用拒否の根拠とされた「病院の譲受人は雇用関係を承継しない」という合意について、一審判決がこれを契約自由の原則から許されるとし、形式的な契約論を採ったのに対して、本判決が、「脱法の手段としての合意」と評価し、その有効性に疑問を示した点は高く評価できる。このような判断は、営業譲渡の際の解雇権濫用法理、整理解雇四要件法理を潜脱するためと考えられる「雇用不承継合意」の無効の法理構成に、有効な手掛かりを与えるものといえる。
法令に違反していない場合でも、使用者の解雇権行使は、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効になる。つまり、法律上禁止されている解雇以外の解雇の場合でも、それが社会的に相当と認められるだけの合理的理由が必要であり、それを欠く場合には解雇権濫用として、解雇は法的に無効となる。
*整理解雇の四要件
1 | 人員削減の必要性が存在すること。 |
2 | 解雇を回避するための努力が尽くされていること。 特に、希望退職募集をせずにいきなり指名解雇した場合には、解雇回避努力義務を尽くしていないと判断されることが多い。 |
3 | 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること。 |
4 | 事前に、説明・協議義務を尽くしたこと。 |
1 偽装解散(偽装営業譲渡)の場合 |
解散会社と実質的に同一性を有する新会社が事業を継続しており、単に労働組合壊滅や組合員排除のための偽装解散に過ぎない場合には、新会社への労働契約関係の追及、法人格否認の法理による親会社の雇用責任の追及、労働委員会に不当労働行為救済申立を行い、親会社に対して雇用責任や団交応諾義務を認めさせる、といった方法がある。 |
2 真正解散の場合 |
真に会社が解散したケースであっても、企業の存続が容易なのに労働組合壊滅のために会社解散、全員解雇した場合や、雇用存続に向けた努力が認められない場合などは、解雇無効、賃金請求、代表者個人の責任追及により救済される余地もあるが、清算手続きが終結すれば会社組織自体が消滅するという限界がある。 |
これについて、従来より労働委員会は「大量観察方法」という手法を用いてきました。これは、組合員らに関する査定結果が他の従業員に比べて全体的に低位にあること、使用者の組合嫌悪意思が立証された場合には不当労働行為があったと一応推定し、使用者が格差が合理的な理由によるものであることを立証しなければならないという手法です。このような大量観察方式によって、いくつものケースで不当労働行為が認定されてきました(紺屋商事事件(最判昭和61年1月24日労判467号6頁)など)。
しかし、人事考課が細分化されてきて集団間の比較が困難な場合はどうするのか、という問題が生じるようになってきました。中労委(オリエンタルモーター)事件は、この問題に関する判例です。
オリエンタルモーター社では、S56年には新賃金制度が導入されました。この制度の詳細は省略しますが、等級として6〜2級(6等級が最上位)、成績評語として、S、A、B、C、D(Sが最上位)が設けられ、それぞれが連動しているというものです。
組合員らは、査定差別を受けてきたとして、S63年不当労働行為救済申立を地労委に行いました。H5年には地労委が救済命令、H10年には中労委が救済命令を出しました。中労委の命令は、概略「新賃金制度導入以降の組合員の昇給、賞与等級、号数について、同期同学歴のB(中位)のものと格付け是正し、基本給、賞与の差額を支給する」というものでした。
しかし、会社は納得せず、H10年に中労委(被告)相手に救済命令の取消訴訟を提起したのが本件です。
裁判所は、3つの争点について、それぞれ以下のとおり判断しました。
*不利益取り扱いの立証事項 |
裁判所は、組合が@組合員に対する低査定の事実、A組合員が非組合員と能力、勤務実績において同等であることを立証しなければならない。Aについては、人事考課が年功序列の場合は、能力、勤務実績において同等であると推認されるが、人事考課が能力主義の場合は、自己の把握しうる限りにおいて具体的根拠を挙げて能力、勤務実績において劣らないことを立証した場合に「能力、勤務実績において同等であること」と推認される、と判断しました。 |
*不当労働行為の成否、とりわけ人事考課に関する判断 |
裁判所は、@新賃金制度以降組合員9人中8人について格差があるが1人には格差がない、A昇給評語、成績評語がC、Dとされていることは格差である、B新賃金制度は能力主義的制度とされるが、主観が入り込んだ場合に是正する方法がとられていないので正当でない評価が行われうる、と認定し、結局9人のうち8人に対しては不当労働行為(不利益取り扱い)を認定しています。 |
*救済方法の違法性 |
裁判所は、争点ケで、査定差別の不当労働行為を認定したうえで、個々の組合員につき細かい区分けを行い、「人事考課には不当とはいえない部分もあるので人事考課が一律不当を前提にした具体的救済方法は、救済方法として過剰である」と結論づけています。その結果、8人のうち救済命令が全て適法とされたのは2人にとどまりました。 |
9人の組合員の勤務成績は、公刊された判例集に記載されておらず、実際にどのような認定をしたのか推測するしかありませんが、S56年からH2年までの間にわたって勤務成績を検討したと思われます。
このような裁判所の判断については、まず、不利益取り扱いの立証に関する判断は今後の実務の参考になると思われます。
しかし、裁判所が、9名の組合員のうち査定成績が低い8人について不利益取り扱いを認めながら、具体的救済場面になると8名全員について完全救済しなかった点は、批判されるものです。たしかに、個々の組合員の勤務成績そのものについては色々意見があるかもしれませんが、そのような勤務成績に名を借りて不当労働行為をしてきている場合には、やはり従来どおりの一括救済が妥当なのではないのでしょうか。
この判例の評釈にも「おそらく事例判断、個別判断だろう」というものがありましたが、人事考課が細分化されるにつれ、人事考課に名を借りて組合差別が仕掛けられてくると思います(このような話は、学習会参加の各単組から聞かされました)。一方で、今回の判例は、能力主義的人事考課であってもフィードバックシステムなどがない場合には恣意的運用がなされるおそれが高い、と判断しており、今後の闘争の際に利用できる部分もあることを申し添えておきます。
カンパありがとうございました。下記の事件につき、カンパをいただきました。厚くお礼申し上げます。
建交労袖岡事件
深草 徹
増田 正幸
高本 知子 弁護士より
お知らせ
この度、ホームページアドレス・メールアドレスを変更いたしました。新しいアドレスは
URL http://www.hm.h555.net/~minpokyo/
E-mail minpokyo@hm.h555.net
です。お手数ですが登録の変更をお願いいたします。また、ホームページをリニューアルする予定です。