《第476号あらまし》
 労働法講座(第1回)報告
     @団交ルール
     A団交事項
     B団体交渉にあたっての構えを再確認
 《連載》労働事件随想録 J
 新人弁護士会員の紹介


労働法講座(第1回)報告
@団交ルール

弁護士 本上 博丈


団体交渉が主であり、団交ルールはそのための手段

第1 団体交渉の当事者

1 労働者側

団体交渉についての規定として、憲法28条は「勤労者の……団体交渉……をする権利」と定め、労組法7条2号は「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉すること」の拒否を不当労働行為と定めて禁止することによって、団体交渉について、個人交渉と異なる交渉権の保護、すなわち使用者に誠実交渉を強制している。

この交渉権を持つのは、上記規定で労働組合に限っていないことなどから、労働組合だけでなく、労働者が結成した団体であればよいと一般に解されている。例えば、交渉事項について参加労働者を糾合して交渉に当たるのに必要とされる程度の統率力を持っている争議団、解雇の効力を争っている被解雇者の団体、未払賃金・退職金等を要求している退職者団体なども、団体交渉権を持っている。

なお団体交渉は労働協約締結のためのものであるとして、労働協約を締結できる労働組合に主体を限るか否かという問題もある。例えば、非現業公務員の組合(職員団体)や、労組内部の権限分配によって協約締結資格のない支部・分会に団体交渉権があるかであるが、法文上限定できる根拠はないから、肯定されるべきである。

2 使用者側

原則として労働者側の当事者に対応する企業組織(企業、支社、工場、出張所など)が使用者側の交渉当事者となる。「使用者」の概念で捉えられる限り、労働契約当事者に限らない。例えば、偽装請負において労働者に指揮命令をし労働者の就労条件を現実に決定すべき立場にある発注会社や、当該労働関係に事実上の支配力を及ぼしている親会社などにも、団体交渉を要求できる。


第2 団交ルール等

以下では、問題となる場合を挙げて、不当労働行為になるか否かを説明する。原則を理解できれば、大抵の場合、不当労働行為になるか否かは常識的に判断すれば正解できる。

1 書面の交換による交渉

団体交渉とは、直接対面して交渉することを意味するから、文書のやり取りは団体交渉ではない。したがって、使用者が書面の交換による交渉に固執し直接交渉に応じないことは不当労働行為になる。また団交要求についての文書説明を要求しその文書を出さないことを理由にした団交拒否も、要求の説明は団交の席上口頭ですればよいから、文書説明にこだわることは不当労働行為になる。

2 予備折衝に関連した問題

予備折衝(事務折衝)は、実質的な交渉に入る前の事務準備手続として行われる場合が多いが、法的には広い意味での団体交渉の一部にあたる。したがって、使用者が予備折衝に入ること自体を拒否している場合や、予備折衝において誠実な態度をとらない場合も不当労働行為になる。しかし、少数者の結成した労組からの団交要求に対して、使用者が組合の実態、当事者適格性の把握等のためにまず予備折衝を行うことを求め直ちに団交要求に応じないことは、不当労働行為にならない場合がある(博多南郵便局事件・東京高判平成2.4.25)。

3 団交ルール一般

団体交渉の態様、開始手続、時間帯、場所、出席者、予備折衝の要否などの団体交渉ルールをいかに設定すべきかについては、定めはない。法は、基本的には当事者の自治に委ねる立場であり、実際には労働協約で一定のルールが定められている場合が多い。あくまでも団体交渉が主であって、団交ルールはそのための手段にすぎないという原則を押さえて、常識的に考えればよい。

例えば、団交ルール未確立の場合に使用者がそれを理由とした団交拒否は、不当労働行為になる。但し、使用者が団交ルール確立のための予備折衝を提案した場合は、その予備折衝が引き延ばし目的でなければ、その間の団交拒否は不当労働行為にならない。

使用者が団交の場所、時間、交渉人数などに関して自ら主張する、合理性を欠くルールに固執しルールに関する合意の不成立を理由として団交拒否をすることは不当労働行為になる。使用者が団交開始に先立って組合員名簿の提出を要求し、その未提出を理由として団交拒否をすることは、従業員のうち一人は組合員がいることが確認できればよく(一人は明らかにする必要がある)、誰が組合員であるかを確定することは団交開始の必須の条件とは言えないから、不当労働行為となる。

4 交渉日程

使用者は、団交申込みを受けてから一定期間内の適当な時期に交渉に応じる義務を負う。具体的にどの程度の期間かは、ケースバイケースである。なお、労組は当然に就業時間内の団体交渉を要求できるわけではない。

労組の要求した日程に対して、使用者が準備の都合上その他の理由により、合理的範囲内で延期を申し入れることは不当労働行為にならない。

賃金引き上げ要求に対して、会社が団交の延期を求め、会社案について直接従業員に提示するなど組合を無視ないし軽視し、組合案を検討した様子がなく、会社経営が赤字であるといいながらも経理資料の開示に応じなかった場合は、不当労働行為になる。

5 交渉時間・回数

交渉時間は、通常は1回当たり4〜5時間を限度とすべきと言われている。回数については、予め限度を設定する性質のものではない。

一定の回数交渉を重ね、使用者が自己の見解を資料等を用いて誠実に説明してきたが、合意の達成が困難で交渉の行き詰まり状態となった場合、使用者は一旦打ち切ることができる。

6 場所

通常は企業内の会議室等で行われるものだから、使用者が合理的根拠なしに企業外の会場での開催に固執することは、不当労働行為になる。しかし、労働者が役員等の自宅に押しかけてその場での団交要求をしたのを拒否しても、不当労働行為にはならない。

7 出席者・人数

交渉担当者は、労組法6条で「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者」とされているから、一般組合員は、労組の委任なしに当然に交渉担当者になりうるわけではなく、その意味でいわゆる大衆団交は排除されている。したがって、使用者は組合員の不特定多数が参加するいわゆる大衆団交に応ずる義務はない。

使用者が組合側の交渉委員を5名程度にしない限り団交に応じなかったが、組合の希望は交渉委員を10名とすることであって、この人数で団交の円滑な運営を妨げるおそれはないから、使用者の団交拒否には正当な理由がなく、不当労働行為となる。また使用者が交渉人員を5名以内、交渉時間を2時間に限定し、この制限に従うのでなければ団交拒否したという場合も、不当労働行為になる。

しかし労使間の協定で、団交要員は、組合三役、中央執行委員のほか、必要に応じ一般組合員若干名を加えると定めている場合、「若干名」とは数名、多くとも10名未満と解するのが相当であって、組合が、団交に一般組合員22名の参加に固執したため、使用者が団交要員が多数に過ぎるとして団交拒否した場合は、不当労働行為にならない。

8 その他

団交ルールに関連して、以下のような団交拒否もよく見られるが、全て不当労働行為になる。

争議中でビラ貼りなどが行われている異常な空気の下では団交に応じられないとして団交拒否した場合、組合が機関紙に会社を誹謗する記事を掲載したから団交に応じられないとして団交拒否した場合、要求する賃上げなどについて譲歩する能力と意思がなく団体交渉で話し合っても無駄だとして団交拒否した場合、団交事項は裁判所に係属中であって使用者としては既定方針を貫くとして団交拒否した場合、団交事項は弁護士に委任したから使用者として応じる必要はないと言って団交拒否した場合。また団交時における組合側のバカとか石頭とか発言するなど不穏当な言動は、その場の団交打ち切りの事由にはなるが、その後の交渉に一切応じないことの正当理由とはならないから、組合が以前の不穏当発言を謝罪しないことを理由に団交拒否をすることは不当労働行為になる。

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労働法講座(第1回)報告
A団交事項

弁護士 増田 正幸


義務的団交事項はとても広い!!

 労働力を独占しえない今日の労働組合にあっては団体交渉が労働条件改善のための中心的な手段となる。憲法28条が団体交渉権を保障していることから、使用者は労働者側の要求に応じて誠実に交渉することを義務づけられている。

 団体交渉でいかなる事項を取り上げるかは交渉当事者が自由に決める事がらであり、無制限であるが、使用者が団体交渉を行うことが義務づけられる事項(義務的交渉事項)について使用者が交渉に応じなければ団交拒否の不当労働行為が成立する。

(1) 義務的交渉事項とは、「労働条件など労働者の経済的地位に関係があるかもしくは労働組合そのものに関係のある事項で、かつ使用者の処理権限内の問題」を指す。

(2) たとえば、「労働者の経済的地位に関係がある」事項として、@賃金、労働時間、安全衛生、勤務体制、A就業規則の制定・変更はもとより、B個々の組合員の解雇、配転・出向、採用、査定、昇格、人事考課など組合員の個人的労働条件も義務的交渉事項となりうる。組合員が個人的労働条件について労働組合の団交による解決を希望する場合はもちろん、組合員が労働組合による交渉を希望しない場合でもその問題が他の組合員に影響を及ぼす限りにおいて労働組合が求めれば使用者には団交に応ずる義務が生ずる。

さらに、非組合員の労働条件でも間接的には組合員の労働条件に影響を及ぼすし、組合員が昇進して管理職になることが多いから管理職の労働条件についても広く義務的団交事項になるというべきである(争いあり)。

(3) また、「労働組合そのものに関係のある事項」には、ユニオンショップ制、組合事務所・掲示板などの便宜供与や就業時間中の組合活動の範囲など組合活動のルールや団交ルールが含まれる。

3 「経営権」事項

使用者はしばしば、設備の更新、生産の方法、経営者・管理職の人事、営業譲渡、合併・会社分割・持株会社化等の会社組織の変更、業務の下請化、派遣労働者の導入などについては「経営権」事項であり、使用者が自らの責任で決定すべきことであるから団体交渉になじまないと主張する。しかし、これらの事項でも労働者の労働条件や経済的地位の向上と関係がある限りは義務的交渉事項になる。

4 平和義務

一定の有効期間を限定して労働協約を締結した場合に、その有効期間中は事情の変更がない限り協約条項の改訂を求めて争議行為に出ることはしないとの黙示の合意が含まれている(相対的平和義務)と解されていることから、協約条項の改訂について使用者には団体交渉に応じる義務はない。

ただし、有効期間の満了時期に近づいた段階で有効期間満了後の(協約に定めた)労働条件について、使用者には団交に応ずる義務が生じる。

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労働法講座(第1回)報告
B団体交渉にあたっての構えを再確認

全日本建設交運一般労働組合 津村 訓孝


「団体交渉」をテーマにした労働法講座を受けて、改めて労働組合は、団体交渉ではじまり団体交渉で終ることをひしひしと感じ、団体交渉にあたっての構えを再確認しています。経営側の対応は、千差万別で労使関係の尺度にもなっています。不当労働行為を意図的にする経営者、理解がなかなか出来ない経営者と様々な対応があります。労働争議に至ることもままあります。

建交労は、圧倒的多数が中小・零細企業で少数組合です。そこで地域・業種・職場の共通要求での多数派形成を心がけています。交渉に際してできる限り全員参加の職場集会で意思統一し、団体交渉は、基本的に職場全員参加で行います。最近では、初めての団体交渉からICレコダーやビデオなどで記録することに心がけています。通常は、合意した内容を労働協約を締結して団体交渉を一区切りします。

団体交渉そのものを拒否する、いわゆる不当労働行為を平気で行う経営者もなかにはいます。そういう職場は得てして、新しい職場も既存の職場もおおむね共通していることは、何らかの法違反を犯しているケースが多いことです。既存の職場も知らず知らずのうちに労働基準法を犯されている場合が多々見られます。交渉前に職場の再点検をし、労基法違反がある場合には、申告書などを準備して、経営者に是正をせまったり労働委員会へのあっせん申請を行うなど不当労働行為を許さない闘いは、重要です。

事件にすると時間がかかりすぎるので、建交労では、労働委員会のあっせんをまず活用しています。あっせんは、窓口段階では、職員が対応するので、何とかあっせんが成功するような努力がされているので、あっせんで団体交渉に応じるケースも多々あります。しかし、あっせんは、あくまで任意で、経営者が必ず応じる必要がないという弱点があるので、不調に終ることも多々あります。その場合は、やはり不当な企業を社会的に包囲するビラ宣伝を旺盛に行ったり、労働基本権を行使して闘います。

場合によっては、労働委員会へ救済申立を行います。しかし救済申立には、面倒な手続きが多く使い勝手は良くないのが現状です。まして兵庫県の場合は、労働者側委員が連合独占で、話しを聞いていてもどちらが労働者側委員か経営者側委員か見分けがつかないほどで、相談を持ちかける気にもなりません。

現在、労働者委員の公正な選任を実現する兵庫県連絡会議で、兵庫県知事を相手に県労委の「連合」独占任命取消訴訟の取り組みを行っていますが一日も早く私たちの推薦する労働者側委員の実現に向け奮闘しなければなりません。そして、労働組合が真に活用しやすい労働委員会を目指して、労働委員会を活用していきながら、もの申していくことが大事です。これからも使い勝手がいい労働委員会を目指して、真の労働者の救済機関になるまで奮闘していきたいと思います。

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《連載》労働事件随想録 J

弁護士 野田 底吾


堺・泉南地方は昔から綿紡績業の盛んな地域であるが、この紡績機械を提供してきたのが尼崎にある中小の金属機械工場である。尤も1970年(S45)のドルショックを契機に、紡績業は殆どが中国に移ってしまった為、紡績機械メーカーには倒産の嵐が吹き付けた。労働事件随想録(5)で記したN社の大量人員整理事件も、スピンドルと言われる紡績機械の受注減を背景とするものであった。

尼崎市の日本シャフト精工株式会社(資本金7000万円、従業員250人)も繊維機械メーカーの1つで、その優秀な技術力には評判が高かった。大手総合商社トーメン(資本金100億円)はこの技術力を見込んで、1963年、日本シャフトと総代理店契約を締結し、シャフト製品の独占販売権を取得した。資金力に乏しい中小企業の日本シャフトの側でも、トーメンの前渡金制度(製品受渡前に代金の大半を得る)に魅力を感じており、時の経過と共にトーメンからの借入金が膨らみ、次第にその資金系列下に組み込まれていった。その結果、シャフトはトーメンからの役員を受け入れ、更に毎月の営業報告をも義務づけられる等、次第にトーメンの子会社化して行った。こうしてトーメンからの借入金は、74年には12億円に達し、本社工場の土地、建物、工作機がすべてトーメンの工場財団抵当と代物弁済予約の担保に入れられてしまった。その1年後の75年6月、シャフトは折からのオイルショックの直撃を受け、不渡り倒産してしまった。従業員250人の賃金、一時金、退職金の未払い労働債権6億円が踏み潰された。調べてみると、トーメンはその1ケ月前に、担保に取っていた土地、建物をそっくり代物弁済で自社名義に移し、12億円の貸付金を回収していた。

周知の如く、労働債権は一般債権には優先するものの、抵当権などの担保権には歯が立たず、6億円もの労働債権をシャフトから回収する法的手段は既に無くなっていた。残るは、トーメンに移ってしまった工場をスト権を行使して占拠し、トーメンから立退料を取る以外にない。全国金属労組日本シャフト支部は、直ちに全従業員でもって職場占拠することを決定し、その日のうちに工場出入口をすべて閉鎖した。そして毎晩、正門にかがり火を焚いてピケを張り、泊り込んで工場を守り、工場内から機械類を持ち去ろうと押しかける債権者や暴力団を、ピケを張って追い返した。然し、トーメンに未払い賃金を支払わせる為には、何としてもトーメンを団体交渉の場に引っ張り出さなければならず、事件を担当した足立弁護士と私は工場に泊り込んで団交拒否の不当労働行為救済を申立てる準備に入った。

やがてトーメンを相手方とする不当労働行為の審問が、兵庫地労委で始まったが、相手方は木で鼻をくくった如く、自分たちが使用者でない事を主張して請求却下を求めると共に、トーメンの所有になっている工場を組合が実力で占拠するのは違法ストである旨を執拗に主張し、機動隊の出動要請をも臭わせた。そんな脅しにも屈せず、組合は社会的にトーメンを包囲すべく北浜のトーメン本社を攻め、正面玄関前に座り込みを始めた。じりじり照りつける夏の日差しの下、多くの組合員が連日座り込み、トーメンの不当性を社会にアピールした。然し、トーメンも12億円の貸付金回収が掛かるだけに必死で、全く解決に動く気配も見せず、膠着状態が続いた。

ある日、私達が操業が停止している工場内を見て歩いていた時、工場の所々にスピーカーが設置してある事に気付いた。組合長いわく「日頃から組合が休憩時間毎に全職場に組合ニュースを放送している設備です」との事。私には咄嗟に閃くものがあり、思わず手を叩いた。過去に、構内にある組合事務所の利用権を根拠に使用妨害禁止の仮処分をかけ、工場敷地を組合の承諾なしには売却できない様にしておいて、倒産会社の大口債権者を交渉の場に引き出し、これに多額の立退料を払わせ、未払い賃金に充てた経験(神鋼機器工業)があったからである。早速、全ての労働協約を調べたところ、放送設備の利用権が組合に保障されている事を発見した。そこで私達は、神鋼機器工業と同様の方法で、トーメンとシャフトを相手に仮処分を申請し、苦労のすえ勝訴決定を得た。そして時を移さず、その足で地労委に「実効確保の勧告」(労働委員会規則37条の2)を申立て、膠着状態の地労委審問に穴をあける戦術に出た。

地労委は、既にマスコミが組合員の座り込み戦術からピケ・職場占拠などの状況をしばしば記事にしていた関係で、世論が明らかに組合側に付いていた(正義の御旗は組合にあり)ことを認識し、裁判所の仮処分決定にも自信を得て、間もなく「トーメンがシャフトの従業員に対し使用者の立場にあるか否かについては、早急に論断しがたいところではありますが、両社間の従来の関係ならびにシャフトの倒産が重大な社会問題となっている実情に鑑み、組合との間で交渉により当面の諸問題の解決に努められるよう要望します」との勧告をトーメンに発した。その結果、トーメンは工場を自己名義にしてみたものの、簡単にはこれを売却して換金することが不可能になってき、しかも、正面玄関には連日多数の組合員が座り込み、警察も簡単にはチョッカイが出せない状況にあった為、止むなく組合との団交の場に着くことになった。交渉は、簡単には進行せず、3ケ月もの紆余曲折の結果、やっと11月10日、トーメンが3億1500万円を組合に支払う事で決着した。

猛暑の中、154日にわたり、のべ2万人もの労働者がトーメン玄関に座り込み、ピケを張って工場を占拠した日本シャフトの闘争は、こうして親会社に未払い賃金を支払わせる事で決着した。

最後に、私は、最近の労働事件が職場に組合活動がないこと等から、ともすると現場から離れた「法廷内の労働契約論だけの裁判」になっていること、労働組合法が裁判に生かされていないことを心配しているが、この日本シャフトの闘いを通して、私達は労働現場の大切さと、そこを拠り所とした「法廷闘争」の重要性を再認識しなければならないと思っている。

「ひまわりの 空かがやけり 波の群」(水原秋桜子)

柳田勘次編「低成長下の合理化」(労働経済社)所収の拙著<法廷闘争について>を参考にされたい

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新人弁護士会員の紹介

神戸合同法律事務所 弁護士 増田 祐一


この度、兵庫県民主法律協会に加入させていただきました増田祐一と申します。

昨年より、神戸合同法律事務所で、弁護士としての第一歩を踏み出したばかりの若輩者です。

生まれは、神戸市灘区。育ちは神戸市灘区鶴甲の自然の中。神戸高校を卒業し、京都大学法学部で勉強しました。もっとも、司法試験の勉強はもっぱら予備校に通って行っていました。

今回、私がこの兵庫県民主法律協会に加入させていただきましたのは、労働事件に興味があり、しかも、労働者の立場をメインにやっていきたいという思いがあるからです。

私の父親は一介のサラリーマンでして、日々まじめに働いて、子供4人を育て上げました。子供が4人もいたので、両親は倹約生活を送っておりましたが、私達子供も「私学にいくなら、働け」ということを、耳にタコができるほど聞かされ続けました。

そのおかげで、私は、大学に入ってから、親に金銭的な迷惑をかけることに非常に罪悪感を感じ、アルバイトに明け暮れました。

そういうふうに育ったからかどうかは分かりませんが、働くということは非常に価値あることだと感じています。

ですので、一生懸命働いている人が、その価値に応じた対価あるいは評価を受け、また、その労働現場で不当な扱いをされたり、健康を害したりすることがないように、手助けができたらなと思っています。

  

ところで、労働法については、大学で村中孝史先生の授業を1年間受けたのみで、ほぼ、知識は皆無です。しかし、これからコツコツと勉強していこうと思います。

皆様には、しょうもないことをたくさん聞いて迷惑をおかけすると思いますが、これからよろしくお願いします。

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