《第485号あらまし》
 労働審判事件報告
     神戸貨物事件
     年俸制ホテルマン雇止め・残業代不払い事件
 朝宣伝活動報告

労働審判事件報告
神戸貨物事件

弁護士 増田 正幸


1 神戸貨物株式会社(以下「会社」という)は神戸市のゴミの収集,運搬や給食の運搬などの運送事業を営んでいる。

神戸市民の家庭用のゴミは薄緑色の収集車(パッカー車)で回収されている。神戸市内のパッカー車はどれも同じ色と型なので全部同じに見えるが、実は神戸市保有車両はその一部だけである。神戸市は家庭ゴミの収集を民間業者に委託し、受託業者は保有するパッカー車と運転手を神戸市に提供(「傭車」)し、運転手は神戸市環境局の作業員2名(神戸市職員)を同乗させて,所定の受け持ち区域を巡回してその区域内の家庭ゴミなどの一般ゴミの収集をしている。このような「傭車」の台数は神戸市全体で合計88台ある。

パッカー車は特別の仕様のもので、従来、会社を含む5社が随意契約で受託し、それぞれ担当区域を分け合っていた。会社は15台のパッカー車を提供して神戸市中央区、灘区、東灘区、兵庫区などを担当していた。

また、会社はパッカー車が収集してクリーンセンターに搬入したゴミの内、荒ゴミを大型車で処分地である布施畑環境センターへ運搬する業務も受注していた。

会社の従業員は40数名、内20数名が運転手である。保有車両は20数台あった。

2 ところが、平成18年に神戸市会議員村岡功が産業廃棄物の処理施設をめぐる汚職事件で検挙され、同議員がゴミ収集事業の発注にも圧力をかけていた疑いが生じたことを契機に、神戸市は家庭ゴミの収集・運搬の委託(「傭車」)についても一般競争入札を実施することにあらためた。

平成18年11月に平成19年2月から向う3年間の「傭車」について入札が行われた。入札は神戸市を〈東灘区・灘区・中央区〉、〈兵庫区・長田区・須磨区〉、〈北区・垂水区・西区〉の3つの区域に分けて行われたが、受託業者5社中で最もパッカー車の保有台数多い藤定運輸株式会社がすべて区域の業務を落札した。

しかし、家庭ゴミの収集・運搬には88台の傭車が必要であるところ、従来の受託業者1社だけでは落札しても応じられないことは明らかであった。しかも、廃棄物の処理に関しては受託業者はそれをさらに他の業者に再委託することはできない建前になっている(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令4条3号)。

そこで藤定運輸と会社は、会社保有のパッカー車の登録上の「使用者」を藤定運輸にして、会社の運転手を藤定運輸に在籍出向させ、神戸市に対する届出上は会社事務所に藤定運輸「東灘営業所」が設置されたことにして、従来、会社が担当していた区域については、従来と全く同様に会社の運転手が会社所有のパッカー車に乗務して業務を遂行している。

このような経過は会社の労働者には一切知らされなかった。

3 会社は平成19年1月31日に突然パッカー車の運転手を集めて、入札により受託単価が大幅に下げられたことを理由に賃金の35%をカットする意向を表明したが、出席者からはパッカー車運転手以外の職種の従業員も集めて説明すべきであるという要求と決算書などの資料を開示して賃金カットの具体的根拠を示すべきであるという意見が出された。

その後、会社は平成19年2月15日に大型車運転手だけを集めて賃金カットを表明したが、前記と同様に賃金カットの具体的根拠を示す資料の提供が求められた。

平成19年3月19日には従業員が全員集められ、その席に初めて社長が出席したが、社長は資料の開示を拒否した上、「同年4月28日支給の給与から35%カットする予定であったが、1ヶ月延期するので、その間に各自検討し、気に入らないのであれば退職してもらってよい」と述べて開き直った。

会社には従来、パッカー車の運転手を中心とする神戸貨物労働組合(12名)(企業内組合)と大型運搬車の運転手を中心とする建交労兵庫合同支部神戸貨物分会(7名)の二つの労働組合があり、双方の組合がそれぞれ2月から4月にかけて団体交渉を3回行ったが、会社はその席で、入札の単価が下がったので賃金を引き下げること、パッカー車の運転手は藤定運輸に出向させること、平成19年夏の一時金は支払わないことなどを表明したが、賃金の引き下げの根拠について一切具体的な説明を避け、結局、運転手全員につき賃金を一律25%カットすると言って譲らず、平成19年5月から25%の賃金カットを強行した。

会社には就業規則はなく、本件賃金カットは労働者の個別の承諾も取らないまま、まさに一方的に強行されたものである。

4 会社の賃金カットの方針に対して、神戸貨物労働組合は組合内の意見が大きく対立して組合が解散してしまったため、神戸貨物労働組合の組合員であったパッカー車運転手6名が平成19年6月に建交労神戸貨物分会に加入した。

建交労神戸貨物分会は平成19年7月5日の団体交渉でも会社が不誠実な対応を繰り返すので、やむなく平成19年7月18日に兵庫県労働委員会(以下「県労委」という)にあっせん申請を行い、その結果,県労委の仲介で平成19年8月30日に県労委の会議室において団体交渉を行ったが、この席でも会社は賃金カットの根拠資料の提出要求を拒んだ。

5 やむなく、建交労の組合員10名がカットされた賃金の支払を求めて神戸地裁に労働審判の申し立てをした。

組合としては労働審判の席で賃金カットの必要性についての具体的な説明と資料の開示があれば、調停に応じるという方針で審判に望んだ。

ところが、労働審判の席でも会社は一切の資料の提供を拒み、譲歩の姿勢を示さなかったために調停は成立しなかった。そこで、組合側が一定の賃金カットには応じる姿勢を示していたことと、紛争の長期化を避けるために、労働審判委員会は、賃金の18%カットを認め、差額の支払を会社に命ずる審判を出した。

組合としては10%程度のカット(最大でも15%)は覚悟していたが、審判の内容はそれを超えるもので異議を出すべきか否かを検討していたところ、会社が異議を出したために現在,訴訟に移行している。

訴訟になれば賃金カットの根拠資料の提出は不可避であり、それは組合にとって大きな意味を持つと考えている。

6 本件は就業規則もなく、具体的な説明もしないで会社の都合だけで賃金カットを強行するという会社の暴挙を許さない闘いである。しかし、本件はそもそも議員の汚職疑惑をきっかけに神戸市が一方的に業務の委託単価を引き下げたことに端を発している。前記のとおり、特殊車両であるパッカー車を保有している業者は限られており、1社だけではまかなえないことは自明のことである。結局、入札をしても実際に受託業務を遂行する業者は従前と全く変わらず、変わったことは委託単価が引き下げられたということだけである。そしてそれが労働条件の切り下げをもたらしたということである。

本件の会社のよう公共サービスの受託を主要業務にしている業者にとって発注者である行政は圧倒的に優位な立場に立っているが、構造改革政策の下で、行政にとってサービスの調達コストの削減による歳出の効率化だけが優先された結果、本件のようないわば官製のワーキングプアが創出されているのである。

行政が国民の税金を無駄遣いしないことは最も重要な課題であるが、行政と取引をする業者が労働者に適正な賃金を支払うことは決して税金の無駄遣いではない。むしろ、行政には取引業者が適正な利潤を確保することや公共サービスの質を確保すること、地域において公正な労働条件を示すことが同時に求められているのであり、本件では本当はこのような公契約のあり方が問われているのである(その意味で労使間だけで争って解決できる問題ではないのだと思う)。

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労働審判事件報告
年俸制ホテルマン雇止め・残業代不払い事件

弁護士 本上 博丈


1 事案の概要

ホテルマンAは、前職の経験を買われて、01年8月ころ相手方ホテルの食堂部アシスタントマネージャーとして年俸制正社員という名称の無期雇用契約を締結し、以後1年ごとに年俸合意してきたが、07年4月の年俸合意の際に期間1年の有期契約書に署名させられ、08/3/31雇止めされた。

ホテルマンBは、やはり前職の経験を買われて、05年7月、相手方同ホテルの宴会場の運営に責任を持つアシスタントマネージャーとして最初は翌年3月までの期間9か月、その後は期間1年の雇用契約を締結し、2回更新したが、08/3/31雇止めされた。

AB両名とも、年俸合意していたが、その合意書面には「所定労働時間の範囲内で業務完遂することを予定していませんが、管理職としての手当、休日労働・深夜の割増賃金を含むものとします。」との記載がされており、実際、深夜手当の一部を除いて残業代は支払われていなかった。

また相手方ホテルにはナイトマネージャーという制度があり、それは宿直勤務をして夜間のホテルで支配人としての役割を果たすもので、これをホテル全体の従業員の中で下級管理職以上の者が日々交代して当番をすることになっていたが、ABも毎月1回分担していた。宿直勤務中は仮眠室に滞在することが義務付けられ、トラブル等何かあればホテルの責任者として対応しなければならず、何もなければ仮眠できるが外出等することは許されていない。相手方はナイトマネージャー勤務について、断続的労働として労基法41条3号、労基法施行規則23条による労基署長の許可を得ていなかったから、労働時間規制の適用除外にはできないのに、1勤務当たり「NM手当」2000円を支給するだけで、労働時間としては全くカウントしていなかった。

なお申立前の交渉で、ホテルはAについてはスチュワード(皿洗い等の裏方)であれば契約更新してもよいとの示談案を提示してきたが、Aはこれを嫌がらせと受け止めて拒絶した。

2 労働審判での請求

Aは、@労働契約上の権利を有する地位及び職務内容の確認(スチュワードへの上記配転提案との関係)、A年俸に基づく月例賃金の支払請求、B2年間の未払残業代約420万円及び付加金約370万円の支払い請求をした。

Bは、@労働契約上の権利を有する地位の確認、A年俸に基づく月例賃金及び賞与の支払い請求、B2年間の未払残業代約270万円及び付加金約230万円の支払い請求をした。

3 結果

Aについては、請求@Aに関し賃金6か月分に相当する解決金230万円の金銭解決で雇用契約の終了を確認する、請求Bに関し2年間の未払残業代400万円の支払を受ける、という内容で調停が成立した。

Bについては、請求Bに関してのみ2年間の未払残業代260万円の支払を受けるという内容で一部調停が成立し、請求@Aに関しては全部棄却の審判だった。この審判に対しては、即日異議申立をして通常訴訟に移行している。

4 未払残業代関係についてのコメント

上記結果のとおり、この点についてはABの主張がほぼ認められた。勤務時間の特定はタイムカードに基づいたが、ホテルは、残業代は年俸に含まれている、残業代の時間単価については年俸を14分割して月額給与のほか6月と12月に賞与各1か月としているから14分割した月額給与に基づいて算定すべき(申立人は12分割した金額に基づく算定を主張)、退勤時刻は終業後の更衣時間やABがホテル内にとどまって休んだり雑談したりした後に打刻されたもので水増しされているなどと争った。

(1)ナイトマネージャー勤務について

一般に不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には、労基法上の労働時間に当たるのであり(大星ビル管理事件・最判平14.2.28労判822−5)、ナイトマネージャー業務は前述のとおり仮眠室における待機とトラブル等何かあった時は直ちにホテルの責任者として対応することが義務付けられているから、労働からの解放が保障されているとは到底認められず、労働時間にあたる。そして、ホテルは前述のように断続的労働として適用除外の許可を得ていなかったから、労基法における労働時間規制の全面的適用を受ける。

(2)年俸制の下での時間単価の計算

旧労働省の通達(平12.3.8基収78号)は、年俸額の17分の1を月例給与として、17分の2.5を年2回賞与としてそれぞれ支給するという事案につき、「賞与として支払われている賃金は、労働基準法施行規則第21条4号の『臨時に支払われた賃金』及び同条第5号の『1か月を超える期間ごとに支払われる賃金』のいずれにも該当しないものであるから、割増賃金の算定基礎から除外できないものである。」としており、システムワークス事件・大阪地判平14.10.25労判844−79も同旨である。

したがって本件の場合、年俸S円を14分割してそのうち2を賞与名目で支払うとしていても、時間単価の計算においては,年俸を12で除して1か月当たりの算定基礎賃金額Tを算出すべきである。1か月当たりの平均所定労働時間Hは、年間所定労働時間Gを12で除して得られるから、T÷Hによって時間単価が計算できる。

(S÷12)÷(G÷12)=時間単価

(3)年俸には「残業代を含む」旨の契約条項について

「(年俸には)管理職としての手当、休日労働・深夜の割増賃金を含むものとします。」というホテルにおける賃金の定め方からは、時間外割増賃金分を本来の基本給部分と区別して確定することはできず、そもそもどの程度が時間外割増賃金部分や諸手当部分であり、どの部分が基本給部分であるのか全く定まっていないから、割増賃金部分が法定の額を下回っているか否かが具体的に後から計算によって確認できず、このような賃金の定め方は労基法37条1項に反し無効である(大阪地判平14.5.17労判828−14、最判昭63.7.14労判523−6、最判平6.6.13労判653−12)。

また月額残業代○○円を含むと記載されていても、実際の残業代を毎月計算して不足がある月には追加払いするなど、○○円が残業代の実質があるものとして取り扱われていなかった場合には、その含む旨の条項は無効となりうる。

(4)更衣等の時間

ホテルは、終業後の着替え、タイムカード打刻場所への移動等にかかる時間は労働時間ではないと主張した。

しかし、三菱重工業長崎造船所事件・最判平成12年3月9日民集54−3−801は「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められる限り、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当する。」と判示して、実作業の終了後の作業服等の脱離の時間等について、労働時間性を認めた。

本件では制服の着用及びタイムカードの打刻はホテルから命じられていたものだから、それらのための時間が労働時間になることは明らかである。

5 雇止めの効力についてのコメント

(1)Aについて

ホテルの雇止めの主張に対し、申立人は当初契約から無期契約だった、予備的に有期契約だとしても労働契約法16条(解雇権濫用法理)類推だったところ、ホテルが第2回審判期日前に有期契約を前提にしつつ、雇止めを撤回してスチュワードへの配転命令を発した。これに対し、申立人は無期契約を前提に不当報復配転であると反論したが、双方の主張が交錯して、事案が複雑化してしまった。

労働審判委員会は、有期契約だが雇用継続の合理的期待が認められるから労契法16条の類推適用があり、雇止めの合理的理由は認められないとしたうえで、ホテルの配転命令については、(有期)契約社員就業規則上、契約期間途中の配転命令権限はないとしつつ、申立人が主張する不当報復は配転とは認められないことを前提に、申立人が配転を激しく拒絶しているのに、無期契約への転化を認める代わりに配転も受け入れるいう不可解な調停案を提示した(当初から無期契約で、かつ配転命令は有効という判断と同じ結果)。

結局、申立人は配転を受け入れられないので、申立人から金銭解決・退職確認を提案し、6か月分の賃金相当額の解決金による退職となった。

ホテルがスチュワードへの配転を言い出したのは、雇止めを通告した後申立人側が比較的明白なその無効を主張するようになってからという経過や、そのような配転はホテルでは例が乏しかったことに照らせば、その配転命令は嫌がらせ目的であると認められるべきだったと思う。

(2)Bについて

第1回期日では雇止めの合理性の有無が審尋の焦点だったのに、第2回期日ではなぜかそもそも労契法16条の類推適用があるかという問題に後退し、結局、雇用契約の継続につき合理的な期待があったとは認められないとして門前払いの棄却審判となってしまった。なお調停案は、仮に類推適用が認められるとすると雇止めの合理性には疑問の余地があるとして解決金30万円の提示だったが、申立人が拒否した。

継続期待の合理性が認められない理由として審判書に記載されているのは、@契約社員就業規則では、昇格・降格,配置転換等長期雇用を前提とした人事制度に関する定めを置いていないこと、A雇用契約書等に有期契約である旨明記されていること、B契約更新が2回であること、の3点である。

しかし、@Aは有期契約である以上いわば当然のことで、あえて理由になるほどのこととは考えられないし、Bは確かに更新回数が多いとは言えないが、雇用継続期間は2年9か月に及んでおり、短期とは言えまい。主要結婚式場を任せたいと請われて入社したことや、同式場のアシスタントマネージャーとして重い責任のある地位にあったこと、前述のナイトマネージャー勤務等正社員と全く同じ勤務体系に組み込まれていたこと、2回目の更新時には月額5000円とは言え賃上げされていたこと等からすると,労契法16条の類推が認められるべき事案と思う。

なお本件労働審判委員会は、使用者側審判員は発言は多かったものの基本的な契約論を理解していない、労働者側審判員は終始発言しない、というもので、その構成に疑問を感じた。

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朝宣伝活動報告

個人会員 和田 邦夫


「西神中央駅をご利用の皆さん、おはようございます。たまには休みたい。皆さん、有給休暇はちゃんと取れていますか?。働く時間が長すぎる。残業代・割増賃金はちゃんと払われていますか?。私たちは、兵庫県下の労働組合や弁護士、そして学者などが一緒になって、労働者の働く権利や不当な解雇と闘って40年。兵庫県民主法律協会のものです。今日は、働く仲間たちの権利を、分かり易くまとめたリーフを皆様方に配布しています。是非お手にとってご覧いただきたいと思います。正規の雇用者はもちろん、パートでも、アルバイトでも、派遣でも、働く権利はちゃんと法律によって守られています。法律は知っていなければ、使うことは出来ません。また、困ったときには一人で悩まないで、相談しましょう。弁護士や労働組合が親切に相談に応じます。是非お配りしているリーフレットをお受け取りください。」

10月28日、朝、7時半から8時半までの1時間、地下鉄西神中央駅で、民法協の事務局長増田弁護士をはじめ、本上・瀬川両弁護士、建交労やJMIUの仲間10数人が、出勤・通学途中の労働者や高校生に、民法協で作った「働く仲間たちの権利ポイント」リーフを、ハンドマイクで中身を紹介しながら配布しました。

当初は西神中央駅で下車する西神工業団地の労働者をターゲットと考えていましたが、むしろ西神中央駅で乗車し、神戸市の中心街に出かける人々と、通学途中の高校生が受け取りました。千数百枚を配りましたが、受け取った多くの方が、大事そうにハンドバッグや鞄に入れている姿が見受けられ、リーフの受け取りはたいへん好調でした。参加人数がもっと多ければ、反対側の出口もカバー出来、西神工業団地で働く労働者にも配布できたのではないかと思いました。

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訃 報

去る、11月9日に足立昌昭弁護士がご逝去されました。
足立先生には長期間にわたり代表幹事をお願いしてきました。総会や実務研修会にも参加していただき民法協を支えていただき本当にありがとうございました。在りし日のお姿をしのび、心からご冥福をお祈り申し上げます。また、代表幹事の羽柴修弁護士が足立先生への回想を述べられました弔辞を転載させていただきます。

弔 辞

兵庫県民主法律協会を代表して御霊前に一言、お別れの言葉をささげます。  
足立先生に民法協の代表幹事をお願いしていましたのは1994年度から2000年度第38回総会まででした。この頃まで総会や実務研修会では、時々、お会いする機会がありましたが、その後は兵庫県下の労働事件も少なくなり、事件や活動を通じてお会いする機会がなく、最近では宝塚映像地労委命令後の中労委再審査段階でお話したのが最後になったような気がします。  
足立先生は、弁護士登録をして間もない1970年に、不当労働行為事件の使用者概念が争点となった大豊運輸事件で勝利命令を勝ち取られ、1973年に全面勝利解決、その後も山村硝子事件、化学同盟合化積水事件、関西電力人権裁判や高馬ビラ事件など多くの事件で活躍され、貴重な成果を残されました。  
足立先生の健康状況が思わしくないと聞いてから、お元気なうちに顔を見たいと思いながら、お会いしたときにどういう話をしたらいいのかと弱気になり、昨日、ご逝去の報に接することになりました。申し訳がなくかつ残念で言葉もありません。今年の4月に川西さんや小牧さんから京都美山に奥様ともども来ていただくような話もありましたが、これも果たせず本当に残念でした。ご一緒に桜を見ながら、今の日本の労働運動のあり方や労働事件について語り合いたかったです。  
もう直接お話を聞くことも、カラオケで素敵な歌を聴くこともできませんが足立先生のことは決して忘れません。どうか安らかにお休み下さい。


2008年11月11日             兵庫県民主法律協会
代表幹事 弁護士 羽 柴  修