事案の概要
Xは、高校卒業後、平成3年、Y社に正社員として雇用され、令和2年1月に解雇されるまで、約28年間、Y社の従業員として稼働した。
Xには、出産時の酸素不足によって生じた脳性小児麻痺による四肢痙直性麻痺があり、身体障害者2級である。痙直性麻痺とは、手足が硬直し突っ張った状態になる麻痺のことであり、Xの場合、四肢が常時その状態であるため、歩行の際は、常時、両手に杖(ロフストランドクラッチ)を持つ必要があった。なお、Xに知的障害はない。Y社への入社は、障害者枠による採用ではなく、通常の採用であった。Xは、Y社に入社後、主に営業サポートを行う営業事務に従事していた。
(1) 本件は、このような身体障害を有するXが、Y社に出社のために建物内の下りスロープを歩行していたところ、荷物搬入のためにスロープに敷かれていたシート上で杖が滑り、転倒、負傷したことにつき、Y社に対し安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求する事案である。
(2) 通勤や勤務の実態
ア Y社建物に入る方法は2つあり、1つは階段を上がって2階から入る方法、もう1つは地下駐車場に至るスロープを降り、その奥にあるエレベーターで入る方法である。しかし、2階に至る階段には当時手すりがついておらず、Xはそのような階段は上ることができないため、Xはスロープを降りるしかなかったが、スロープにも手すりがつけられていないため、Xは、毎日、細心の注意を払ってスロープを降りて建物内に入っていた。Xは、これまで、このスロープで何度もバランスを崩したり、転倒したりすることがあった。
イ Xは、常時両手に杖を持っており、荷物を持っている出勤時は特にバランスを崩しやすい。杖と杖の間は約100センチであり、狭い通路を歩くことは転倒のリスクが大きくなる。したがって、手すりのないスロープを降りるためには、杖と杖の間隔をしっかり取れるスロープの真ん中を通る必要がある。なお、当該スロープの斜度はXにとってはかなり急である。前記の通り、Xは杖を体の前方に約100センチの幅でつかなければならないから、障害物があると進めなくなったり、無理な体勢変更を試みて転倒してしまう。平成28年頃にスロープを下ってすぐの駐車スペースに車両が停められるようになってからは、それを避けようとして転倒することが増えた。
Xにとっては、通勤時に当該スロープを下ることは避けられないから、Xが通る場所に障害物を置いたり床面に滑りやすいものを敷かないことはもとより、スロープの両側のいずれかに、原告が杖の代わりに体重を預けて支えられるよう、手すりを設置することが最低限必要である。スロープの両端どちらかに手すりがついていれば、転倒は確実に防ぐことができた。
Xは、このままだとそのうち大けがをしてしまうかもしれず、その時になってから会社に訴えても遅いと感じ、これまで、スロープに手すりを付けてほしい旨や、車両の駐車位置を変更してほしい旨を、Y社に伝えてきた。特に、手すりについては、Xは、スロープの両端のいずれでもよいからつけてほしい旨、あるいはスロープではなく階段の方でもよいから付けてほしいと伝えたが、Y社は、一切応じようとしなかった。
手すりの他にも、Xは、椅子やトイレ等の設備についても、Xが利用しやすいように最低限の対応を求めてきたが、いずれも受け入れられることはなかった。
(3) 転倒、後遺障害
そうしたなか、平成29年5月、Xが出勤した際、スロープ真ん中にシートがついたクッション材数枚が敷かれており、Xはそれを避けることができずクッション材の上に両杖をついたところ、杖が前に滑り、前のめりに転倒し負傷した。
Xは、この転倒により、左足関節捻挫、靱帯損傷、また、この左足の負傷によって体のバランスが崩れ、右手関節、右肘関節にも捻挫痛が出現した。Xは、労災申請を行い、業務上と認定され、障害等級12級に該当する後遺障害が認定された。
Xは、この転倒による負傷の結果、介助がないと風呂に一人で入れなくなり、杖がなくても行くことができた自宅のトイレに行くにも杖が必要になった。自宅近くの数段の階段も、他人の助けがないと登れなくなり、車も、乗車するまでにさらに大きな労力と時間が必要になってしまった。
(1) Xは、その後、通院しながらの出勤が続いた。Xは、改めてY社の設備等の改善を申し入れたが、会社敷地内で転倒したのはX個人の責任であり、会社設備の見直し等をするつもりはないこと、今後は親にエレベーター前まで付き添わせること、親には子の面倒を看る義務があり、親の同意を取るので親を会社に呼ぶこと、これを断ると業務命令違反として辞めることになっても仕方がないことを告げられた。
(2) Xは、Y社がXの負傷や障害について理解を示さないだけでなく、Xを嫌悪していると感じ、職場環境の改善や会社設備の改修等を求めて、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条の労働局長の助言・指導を求めた。しかし、Y社はXの主張を全面的に否定したため、あっせん手続きに移行した。ところが、Y社はこれに誠実に応じようとはせず、あっせんも打ち切られた。
(3) また、Xの労災申請を受けて労働局がY社に事情聴取を行い、職場環境の改善について指導したが、Y社は、改善することは義務ではない、社員一人のために対策をする予算はとっていないなどとして、応じることはなかった。
(4) Xは、労災保険から休業給付を受けたが、その後、さらに悪くなった身体状態でY社において勤務し続けるのは難しいと感じ、出勤することができなかったところ、令和2年1月、Xは解雇された。
(1) 厚労省は、障害者雇用促進法36条4に基づき事業者が講ずべき措置について指針(以下「合理的配慮指針」という)を定めている(同法36条の5第1項)が、合理的配慮指針では、「肢体不自由」の労働者に対して、「移動の支障となるものを通路に置かない、机の配置や打ち合わせ場所を工夫する等により職場内での移動の負担を軽減すること」、「スロープ、手すり等を設置すること」等を対応可能な措置として例示している。
合理的配慮指針は、事業主に対して、労働者から合理的配慮に関する相談があった時は、職場において支障となっている事情の有無を迅速に確認し、それが確認された場合は、合理的配慮の手続きを適切に行うことを求めている。
障害雇用促進法は、同法35条、36条の3、36条の4に違反する場合は、厚生労働大臣が事業主に対して、助言、指導または勧告をすることができると規定しているにとどまっているが、同法にもとづく合理的配慮の提供義務が障害者である労働者の安全と健康を確保するためのものである場合は、同法の上記規定は、使用者の労働者に対する安全配慮義務の内容の基準となるものと解される。
(2) 前記の通り、Xは既に平成28年の時点で、Y社に対し、スロープの危険性およびその具体的対策として手すりの設置を求めていたのであり、Y社はXの通勤時の危険について把握していた。したがって、Y社には本件転倒事故について安全配慮義務違反があることは明白である。
なお、時期は不明であるが、本件事故後、Y社建物の階段側の入口には手すりが付けられた。Y社が手すりの必要性を認識し、かつ、手すりを付けることが容易であったことは明らかである。
Xは、令和2年5月15日、Y社に対し、前記安全配慮義務違反による損害賠償請求訴訟を提起した。
このページのトップへ今春闘は、コロナウィルスの影響で密な交渉が出来ず団交待機が行えない交渉となりました。
経営状況の先行きを考え、賃上げ重視の方針から一時金増額の方針転換せざるを得ない交渉になり妥結となりました。
職場では、以下の感染防止対策を取りました。
・出社時はマスク着用、手の消毒をする。
・通勤は出来るだけ電車を避けマイカー通勤にする。
・会議、打合せには、できるだけ電話、メール、リモートでの対応をする。
・年間行事(旅行、バーベキュー)の自粛。
・食事は、密にならないように2班に分かれて換気、対面にならないようにする。
現在は、幸いにも従業員の感染者は出ていません。
会社の売上に大きな影響は、まだ出ていませんが助成金の申請をして8月10日、11日は休業し、9月22日を休業とする予定です。
このページのトップへ臨時休校中の対応は学園によってまちまちで、※ICTの環境整備の差によって、学習の機会の差が生じました。
オンライン授業が可能な学園では、Zoom、Google Meet、Microsoft Teamsなどを使って、日々の健康管理や朝礼及び主要教科の時間割を作成し、ほぼ通常通りの授業をおこなえた学園があります。
一方、整備が整っていない学園では、HPによる情報発信や課題のプリントを郵送したり、電話で健康状態や学習の進捗度を聞き取ったり、双方向ではないが、各教科の講義動画をYouTubeへアップしたりして、可能な限りの工夫をしました。
教職員の出勤(勤務状況)に関しては、時差出勤やグループ分けをしての分散出勤、在宅勤務等で3蜜を避ける取り組みが多くの学園で行われました。
教員の労働に関しては、オンライン授業用の教材作成やYouTube用の講義動画の作成等により、オンライン授業の有無にかかわらず、平時よりも忙しい教員が多く見受けられました。
また、生徒の分散登校時には、生徒の入れ替えの合間(大概は昼休み)に消毒作業を行うため、休憩もままならないという厳しい報告がある一方、クラスを2分した少人数の授業では、教員は同じ授業を2回やらなければならないことになるが、生徒一人一人に目が行き届き、教師はこころに「ゆとり」を感じたと言います。これは学校にとって非常に重要なことです。
新型コロナは、色々な課題を私たちに投げかけていますが、この失われていたこころの「ゆとり」を学校に取り戻す絶好な機会であるのかもしれません。
※ICT教育とは、パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法。 ICT教育の「ICT」は、Information and Communication Technology の頭文字をとった言葉で、日本語の意味は「情報通信技術」。
このページのトップへ建交労兵庫県本部は、10支部で成り立ち業種もトラック、生コン、ダンプ、事業団、学童保育と様々です。8月6日現在、組合員・職場・ご家族の方の感染報告はありません。
また、コロナの影響での倒産や企業閉鎖・解雇の報告もありません。
業種別では、病院等に酸素を運ぶ輸送会社で物量が激減、残業が減り自宅待機の日もあったそうです。
事業団は緊急事態宣言の期間中はほとんどの仕事が止まった(自粛も含めて)、学童保育の仲間からは3月初旬頃から、多くの児童が学童保育を利用されて密状態であったと報告がありました。
生コン職場では、ゼネコンの自粛で公共工事の現場で止まった所もありましたが、ほとんどの民間の現場は通常通りで大きな混乱はありませんでした。
生コン関連の労働組合で組織する「近畿生コン関連協議会(通称KORS)」と日々雇用労働者の組合で組織する「労供連絡協議会(通称KLWS)」は、「うつさない、うつらない」を全面にしたポスターを作成し、各生コン工場の掲示板に貼っていただき感染予防の啓蒙をしました。朝礼や点呼時も密にならないよう配慮するよう企業に要請しました。
連日、感染の拡大が報道され先が読めない事態ではありますが、事態が終息するまで気を緩めることなく頑張りましょう。
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